六代目 笑福亭 松喬 / 網船
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 Published On Jan 8, 2022

「なんとしても生きたい」という思いで
いろんな辛い治療もしましたが、そんな病気の事も全て笑いにしてしまう松喬さんは、根っからのサービス精神の持ち主。

元気な時も病める時も
皆さんに笑っていただき
ひと時
楽しんで頂きたいという思いで舞台を務めてきました。

今回の演目は、小佐田定雄さんが、お見舞いにと下さった有難いお品です。

結婚生活が、もうすぐ25年だった私は、それまで 松喬さんが、落語を作り上げていく様子は見たことがありませんでした。

でも
この「網船」だけは、台本を頂いた時もいましたし
舞台にかけるまでの過程を
病室のベッドの横でずーっと見ていました。

頂いた台本をまず録音し
耳から映像を作り覚えていきます。

言葉遣いに不自然なところがないか吟味し

お座敷遊びは、「虎と〜らと〜ら虎」にしようか?・・・

結局 修行中
あ〜ちゃんに教えてもらい良くやっていた「ばら拳」にしました。

自然なオチになったのは、あ〜ちゃんのお陰様。

今回の映像を見ても
網を打つ動きが、丁寧で、ほんまもんです。

これは、田舎の川で投網をしていた光景が、松喬さんの脳裏にあったからでしょう、故郷に感謝。

松喬さんの所作、目の動きが、あまりにも自然で、私には、網が見えるようです。

残念ながら「網船」は、今回ご覧頂く初演を含め数回しか
舞台で演じられませんでした。

「網船」最後の口演は、2013年6月6日NHK大阪ホール
その模様が、7月21日「日本の話芸」で放送され
その9日後7月30日松喬さんは、旅立ちました。

病気の話であっても
笑いを取っているものの
ずいぶん痩せているし
見ると辛いので
このYouTubeチャンネルで 「網船」を
アップロードする事は、なかなか できませんでした。

気力体力も充分だった時に「網船」を演じていたら・・・

ただ 松喬さんは、
声も動きも思うようにならなくなっていた「日本の話芸」の「網船」の時でさえ

「ちゃら喜 お前が酔うて どないすんねん」のところで
ちゃんと笑わせてくれました。

さすが、やっぱり松喬さん 日本一です。


ここで 改めまして
小佐田さんに感謝申し上げます。

「網船」が、入院中の不安な気持ちをひと時忘れさせてくれました。
松喬さんにとっては、至福の時 幸せだった事でしょう。

そして 「網船」を練り上げていく様を見せてもらえた事が、噺家の嫁として生きてきて誠に貴重な時間となり、かけがえのない夫婦の思い出となりました。

心から感謝申し上げます。
ありがとうございました。


六代目笑福亭 松喬
落語公式チャンネル
今回の演目は
「網船」

2012年9月23日
天満天神 繁昌亭
通常興行昼席より
ごゆっくりお楽しみください。

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