【厳選!】再開発進む韓国・釜山と福岡を結ぶ 『クイーンビートル』就航から1年 新たな課題は
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 Published On Nov 28, 2023

福岡と韓国・釜山(プサン)を結ぶ高速船『クイーンビートル』についてです。日韓航路に就航し、11月で1年となりました。乗客の数は“コロナ禍”前の水準に戻りつつあるものの、円安などの影響による新たな課題も見えてきました。

真っ赤な船体が目を引くJR九州高速船のクイーンビートルは、福岡と韓国・釜山を約3時間40分で結びます。

■松原健介 記者
「船内に入ってみると広々としていて、ゆっくりと船旅を楽しむことができます。」

高速船でありながら豪華客船のような快適さがウリで、特徴の一つが航行中の揺れの少なさです。

今回、特別に撮影が許可された操舵室で、その秘密を聞きました。

■クイーンビートル・高石洋介 航海士
「船体の前方と後方に水中翼がついていて、その水中翼を制御して船の姿勢を安定させ、乗り心地を良くしています。」

操舵室のモニターで水中翼の動きを見ながら、安全な運航を保っているということです。

当初2020年に就航予定だったクイーンビートルですが、新型コロナウイルスの影響で日韓航路が運休し、2021年からは福岡県宗像市沖の大島や沖ノ島をめぐるなど、国内遊覧船としての運用を余儀なくされました。

しかし赤字は免れず、もともと所有していた3隻の高速船は売却せざるを得ませんでした。

荒波を受けながら去年、ようやく国際デビューしたクイーンビートルです。撮影した日は平日でしたが、定員の64パーセントに当たる約300人が、釜山までの船旅を楽しんでいました。

■樋口葵琉さん(北九州市から)
「海外が初めてなので、日本と違うところを見たいです。(海外は)飛行機というイメージがあったんですけど、船というのは珍しい。」

ことし9月からは船の先端部分を開放するなどして、クイーンビートルならではのサービスを強化しています。

■松原記者
「博多港を出発しておよそ3時間40分。まもなく釜山の街に到着します。」

迫り来る釜山の港を、大迫力で感じることができました。

韓国第2の都市、釜山の人口は約330万人です。古くから港町として栄え、現在は2030年に開催される国際万博誘致のための再開発が進められています。

港の周辺では新しいビルや、レジャー施設の建設が始まっていました。

港町だけあって、名物は海鮮です。タコやエビが入った『ナッコプセ』という名物料理をいただきました。

■松原記者
「タコとエビはとてもプリプリです。本場、韓国だけあってすごく辛いです。でも、おいしいです。」

釜山港から車で約40分、韓国有数のリゾート地・海雲台(ヘウンデ)地区にも新たなランドマークが生まれていました。

2020年に完成した3棟のビル『LCTタワー』は、最も高い棟は101階建てです。その周囲には観光列車も整備されました。

■松原記者
「こちらはスカイカプセルという新しい観光列車です。さっそく乗ってみます。」

4人乗りモノレールのスカイカプセルは、海沿いの地上10メートルほどの高架をゆっくり走ります。

■松原記者
「スカイカプセルからは、海雲台の海と町並みを、一度に見ることができます。まるで空中散歩をしている気分です。」

■京都から訪れた人
「海雲台は初めてです。(観光列車は)眺めがすごく良かったです。」

釜山観光公社によると、ことし1月から9月まで釜山を訪れた外国人の数は約126万人で、“コロナ禍”前の6割程度まで回復しているといいます。

■釜山の旅行会社 ソン・ミュンス社長
「万博の開催地にするために釜山は努力をしている。万博の宣伝効果で、ヨーロッパからも人が来ている。 万博の開催地に選ばれなくても、宣伝効果で多くの外国人が来ることを期待している。」

ただ、日本からの観光客は約22万8000人と外国人の中で最も多いものの、物価高や円安の影響で“コロナ禍”前のほぼ半数にとどまっています。

クイーンビートルが釜山航路に就航してから1年の乗船客数は約9万5000人です。このうち日本人が占める割合は50パーセントで、JR九州高速船は日本人の需要をさらに拡大したいとしています。

親族で1泊の釜山旅行を楽しんだという男性に話を聞きました。

■樋口葵琉さん(北九州市から)
「めっちゃ楽しかったです。屋台が多くて、いろんな店があって楽しかったです。(また海外に)行きたいと思いました。」

■JR九州高速船 マーケティング課・奥遼次郎 課長
「この1年は運航することに精いっぱい。2年目はよりクイーンビートルらしさというか船旅自体の質を上げて。飛行機とは全く別の物と捉えて、移動から楽しんでいただける工夫にチャレンジしたいと思っています。」

日韓航路就航から1年が経過したクイーンビートルですが、物価高と円安という新たな大波を乗り越えるために、船旅ならではの魅力を今後どう発信してゆくかが課題となっています。


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