『双鬼巫女』

山奥の小さな集落で行われるは、年に一度の鎮魂祭。
貢ぎ物を捧げれば、門守の双頭鬼が顕現し、地に祝福を齎らすと言われていた────。

季節が巡り、彼岸の花が大地を染める刻。

双子の少女(白菊と紅菊)は、運命に導かれるように、古びた神社の境内へ足を踏み入れた。
赤錆びれた鳥居を潜ると、唐突に眩ゆい光に包まれる。静寂と緊張で空気が張りつめる刹那、視界が暗転した……



段々と近付いてくる笛太鼓の賑やかな音色。

彼女らの意識がぼんやり浮上すると、祭りの主が眼前に鎮座していた。
おどろおどろしい雰囲気に、少女達は互いに手を取り合いながら、固唾を呑み行く末を見守る。

威圧感ある双頭の鬼が、彼女たちを品定めするが如く一瞥すると、深く重い声を発してゆっくり話し始めた。

「お前たちが来るのを待ち侘びていた。我が祭に欠かせぬ鬼ノ子よ─────。」






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