日本の海苔がピンチ!?20年ぶりに兵庫が生産量日本一となった背景に“喜べない事情”も?養殖業者「海の栄養が少なくなり育ちにくく」(2024年2月6日)
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 Published On Feb 6, 2024

兵庫県が20年ぶりに海苔(のり)の生産量日本一となりました。しかし、そこには“喜べない事情”もあるようです。

 兵庫県播磨町の「のり流通センター」。多い時には1日で、県内で生産された2000万枚の海苔が集められ、等級ごとに選別され、振り分けられていきます。

 (兵庫県漁業協同組合連合会 藤原紘希さん)「色・質感・穴の有無など、そういったところを細かく見ています」

 兵庫県の海苔をめぐって今、“ある変化”が起きています。

 (藤原紘希さん)「(生産量)1位になったのは20年ぶりのこと。それは、生産者が空き漁場などをしっかりと有効利用して網を張った、そういった努力が実った結果です」

 昨年度、20年ぶりとなる海苔の国内生産量トップに。また、セリでの買い付け価格も前年度比1.5倍にまで上昇しているのです。関係者にとっては「喜ばしい話」かと思いきや、背景にあるのは…

 (藤原紘希さん)「九州地区が去年すごく状況が悪くて、例年の半分くらいしかとれていない状況になっています」

 国内有数の海苔生産地である佐賀県や福岡県。これらの地域がかつてないほどの不作となり、例年通りだった兵庫県の生産量が最も多くなる形となったのです。海苔の現場に何が起きているのでしょうか。養殖場を取材させてもらいました。

 案内してくれたのは、須磨の海で海苔の養殖業をして40年の森本明さんです。

 (すまうら水産 森本明さん)「こんな感じで(網に)海苔が生えています。海苔のタネをつけて、根がついて、葉っぱが育ってきています。(今は)30~40cmくらいになっていると思います」

 2m×20mの網にびっしりとついた海苔。約30cmまで伸びると収穫作業が行われ、1つの網からは1000枚分ほどの海苔がとれるといいます。この作業を年に10回ほど繰り返すそうです。

 収獲した海苔は、須磨区内にある工場で出荷に向けて洗浄や乾燥が行われます。今はちょうど海苔養殖の最盛期ということで、工場では24時間稼働で加工に追われています。

 (森本明さん)「24時間機械が動けば、36万枚(生産できる)。昔は全部手作業でしたが、どんどん機械が大型化。生産者も減っています」

 減っているのは生産者だけではありません。国内全体の海苔の生産量は約10年で3割も減っているのです。その大きな理由の1つが…

 (森本明さん)「海の栄養が少なくなって、育ちにくくなっています。窒素とかリンがないと育たないです」

 下水処理場の処理能力が高度になったことなどで、栄養源となるリンや窒素の量が減少したのです。この栄養源は海苔の味も大きく左右します。栄養源を多く含んだ海苔と、栄養源が乏しい海苔を食べ比べさせてもらいました。まず、栄養源の乏しい海苔を食べてみます。

 (記者)「普段食べている海苔に近いというか…」

 一方、栄養源を多く含んだ海苔は…

 (記者)「全然違います。口に入れた瞬間、違います。ちょっと甘い感じがします」

 森本さんは国内全体の生産量がさらに減ることや、輸入された海苔の流通が増えることに懸念を抱いています。

 (森本明さん)「(生産量)1位は良いことですが、全体的にとれなくなっている。やはり安く、ある程度しっかり数量もとれて、安く消費者の方に食べていただくことによって僕たちも安定して作っていける、そういう方向がありがたいです」


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