先日、義父母からフルーツをいただいた。
あま〜い白桃や大ぶりの巨峰、地元の名産である「シャインマスカット」まで贈ってもらっている。
僕はフルーツを食べるのは好きだが、普段、自分で買おうという気にならない。
風邪気味のときに祈りを込めてミカンを食べる程度にしか果食習慣がないので、こうやって贈っていただけるのはとてもありがたい。

…という話をしていたら、そばでそれを聞いていたモンゴルナイフの目の色が変わった。
しまったと思った。彼女の前で食べ物の話をしてはいけない。

案の定、それから「シャインマスカットって何房あるの？」「食べ切れる？」「かまどさんは次いつ会社にくるの？」「冷蔵庫のスペース空けとこうか？」「取りに行こうか？」「よこせ」と矢継早の尋問が始まった。
その後は、「果物の口になってきた！」とはしゃぎ始め、何もない空間に向かって口をモグモグさせている。虚像のフルーツを食べているようだ。

…その日以来、モンゴルナイフは定期的に僕に熱烈な視線を向けてくる。いつおすそ分けがもらえるのか、ずっと考えているらしい。果物はきになるものだからしょうがないのかもしれない。
僕は僕で気持ちをしっかり持たなくてはならない。昨年はこれに根負けして果物を献上するハメになったのだ。
それとなく家族に話すと「それでモンちゃんが静まるなら、おすそ分けしてあげたらいいじゃない」と言う。
そんなモチベーションでおすそ分けする奴はいないだろ。地鎮祭のお供え物じゃないんだぞ。
（かまど）

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