ラメルテオン(ロゼレム)【リズムも整え安全で依存ない睡眠薬、精神科医が8分でまとめ】
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 Published On Jan 14, 2023

0:05 はじめに
0:29 ラメルテオン(ロゼレム)の概略と作用等
2:35 ラメルテオン(ロゼレム)の長所・短所・使用法等
7:06 まとめ

ラメルテオン(ロゼレム)は、体内リズムを整える脳内物質「メラトニン」類似の、生活リズムも整え安全で依存ない睡眠薬です。ただし効果は全般的に弱めかつ個人差があります。
精神科医が要点を約8分の動画にまとめています。
出演:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)

こころ診療所吉祥寺駅前 https://kokoro-kichijoji.com
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↓↓内容の詳細は下記になります。

<はじめに:安全な睡眠薬ラメルテオン(ロゼレム)>
心療内科精神科の薬。今回はラメルテオン(ロゼレム)についてやっていきたいと思います。よろしくお願いします。
この心療内科・精神科の薬の動画では、メンタル分野のさまざまなお薬についてご紹介をしています。
今回は生活リズムを整えて・安全に使える睡眠薬「ラメルテオン(ロゼレム)」についてやっていきたいと思います。

<ラメルテオン(ロゼレム)とは>
まず、このラメルテオン(ロゼレム)についてですけれども、まとめると「安全性が高く、リズムを整える睡眠薬」ということになります。
少し詳しく見ていきますと、睡眠覚醒リズムを整えるホルモン「メラトニン」と似た物質でありまして、これは安全に使うことができてかつ「続けることでより効果が安定する」ものになります。
生活リズムの乱れであったり、発達障害と相性がいいというところがあります。
ただし、効果には非常に個人差が大きいところがあります。

<ラメルテオン(ロゼレム)の作用機序>
このラメルテオン(ロゼレム)の作用機序ですけれども、これは「メラトニン受容体作動薬」と言いまして、脳内の物質「メラトニン」とほぼ同様にメラトニンを受け取る「(メラトニン)受容体」というところを刺激して、生活リズムや睡眠の改善の効果を出すものになります。

<補足:メラトニンとは>
ここで補足として「メラトニンとは」ということですけれども、これは体の生活のリズムを整える「脳内ホルモン」になります。
夜に増えて、日中に減ることでリズムができていくというものになります。
なので、不眠がある時に夜にメラトニン、もしくはそれと似たものを増やすことによって、リズムを整えて睡眠の改善を図るというところがあります。

<不眠の4分類とラメルテオン(ロゼレム)の効果>
この不眠の4つの分類を見ていきますと、「入眠困難」寝付きが悪いという方、あとは「中途覚醒」途中で覚めるという方、「早朝覚醒」早朝・朝早く目が覚めるという方、「熟眠障害」眠りが浅いという方がいらっしゃいます。

この中においては、ラメルテオン(ロゼレム)の効果なんですけれども、保険の適応は「入眠困難」の改善とあるんですが、実際にはこの寝付きに(入眠)の効果はかなり弱めです。
一方で、中途覚醒や熟眠障害(浅眠)に対しての効果は見込むところがあります。
そして、生活リズムの乱れの改善というところも同時に見込むところがあります。

<不眠症治療の3段階とラメルテオン(ロゼレム)>
次に、不眠症の治療の3段階というところを見ていきますけれども、まず第1段階では、薬以外のいわゆる睡眠衛生のところをやっていくというところがあります。
それだけで難しい場合に、2段階目に依存のない睡眠薬を使っていく。
それでも難しい場合に、一般の睡眠薬、いわゆるベンゾジアゼピン系の睡眠薬を使っていく。こういう順番になります。
このラメルテオン(ロゼレム)は2段階目というところになってきます。

<ラメルテオン(ロゼレム)の立ち位置と特徴・効果の2段階>
この中で、睡眠薬の中でのラメルテオン(ロゼレム)の立ち位置ですけれども、「ある種一番安全に使えるけれども、効果に個人差がある薬」ということになります。

このラメルテオンの効果の特徴を見ていきますと、まず安全性に関しては非常に高い、使える睡眠薬の中で一番高いと言えるかもしれません。
一方で、効果に関しては個人差が大きくて、かつ全般的にはあまり強くありません。
かつ効くまで・本格的に効果が出るまでは、初日ではなくて2から4週ほどかかるという風に言われます。

この「ラメルテオンの効果の2段階」というところを見ていきますけれども、まず1段階目の「その場の効果」というのがあります。飲んだ後に効くという効果、入眠(眠り)を誘うという効果はあるんですけど、ちょっと弱めです。あと、中途覚醒(途中覚める)のを抑える効果も弱めですけど、あるということになります。
そして、これを2から4週続けることによって、脳のバランスが整ってリズムが改善する。それによって自然な眠りが改善するという効果を見込めます。

<ラメルテオン(ロゼレム)の長所と短所>
このラメルテオン(ロゼレム)の長所ですけれども、まず1つ目としては非常に安全でかつ依存性がないというところになります。非常に安全に使うことができます。
2つ目としては、自然な眠りとその中での質の改善を見込むということになります。強めの睡眠薬ですと、どうしても無理に寝るみたいな感じになりますが、そういうことではないということです。
3つ目としては生活リズムの乱れ、特に発達障害に伴う生活リズムの乱れとの相性が非常にいいということがあります。

一方で、このラメルテオン(ロゼレム)の短所ですけれども、まず1つ目としては効果に個人差があって、特に寝付き(入眠)には弱いというところがあります。
2つ目としては、日中に眠気が残ることが多いです。朝起きても眠気が残っているという方がいらっしゃいます。
3つ目としては、しっかり効果が出るまでは、先ほどのように2から4週間、時間がかかるというところがあります。

<ラメルテオン(ロゼレム)の使用量>
ここでラメルテオン(ロゼレム)の量ということですけれども、保険では原則1錠8ミリグラムなんですけれども、どうも1錠(8ミリグラム)ですと日中眠気の起こる方は結構少なからずいらっしゃいます。
その場合はと量を減らして0.5錠、もしくはもっと少量・粉末にしたりするなどして使うということがあり得ます。
また、量以外にも眠る少し前・飲む時間を少し早めることによって対応するということもあり得るかと思います。

<ラメルテオン(ロゼレム)の併用禁忌と副作用>
注意点としては、「併用禁忌」一緒に使っちゃいけない薬が一つありまして、これは抗うつ薬の中でフルボキサミンという抗うつ薬です。商品名でいうと、ルボックス・デプロメールというものになります。
これは相互作用で薬の濃度が非常に高くなってしまって危険があるので、一緒に使ってはいけませんということになります。

それ以外のラメルテオン(ロゼレム)の副作用ですけど、他はあまり目立っていません。
あるとすると、先ほどあった日中の眠気ということ。あと人によってはちょっと頭痛が出るという方は中にはいらっしゃいます。

<ラメルテオン(ロゼレム)を検討する場面>
このラメルテオン(ロゼレム)を検討する場面ということですけれども、まず1つ目としては生活リズムの乱れが目立つという時になります。
2つ目としては、安全性を重視する時、非常に安全に使える薬ということがあります。
そして、3つ目としては効果が出るまで待てるという時です。本格的な効果は2から4週かかります。症状が重い場合は他の症状が悪化してしまうリスクがあるので、そういうことはなくて余裕を持って使える場合がいいかと思われます。

<補足:メラトニン製剤(メラトベル)成人は使用不可>
補足としてメラトニン製剤・メラトベルという薬があります。
これはもうホルモン物質メラトニンがほぼそのままの粉末になってきます。
これは適応が「小児の神経発達症(いわゆる発達障害)に伴う入眠困難」だけになりますので、今のところはちょっと成人・大人の方は使えないということがあります。

<ラメルテオン(ロゼレム)の実際の使い方>
ここでラメルテオン(ロゼレム)の実際の使い方になりますけれども、まず「0.5錠から1錠寝る前」ということで始めていきます。
で、朝眠気が残る場合は薬を減らす「減薬」ということもありますし、飲む時間を調整する、もしくは薬を変えるということを検討していきます。
そして、効果が不十分かつ「待てる」状態であれば、2から4週、本格的な効果が出るまで待つことになります。

そして、生活リズムの改善であったり、そういう薬以外の方法を一緒に行うのが、特にこの薬では大事になってきます。
それを一緒に行っても・「待っても」効果があまりなければ薬を変えるということを検討していきます。
そして有効であって、安定が続く場合は安定が続いて、いろいろ対策をとっていって適宜中止するのを検討していきます。

<まとめ>
今回は「ラメルテオン(ロゼレム)」について見てきました。
この「ラメルテオン(ロゼレム)」はメラトニン類似の、生活リズムと睡眠を安全に改善する睡眠薬になります。
効果に個人差がありまして、朝の残る方もいらっしゃる。あと効くまで非常に時間がかかるということがありますので、量を微調整しつつ、じっくり効果を見ていくという薬になります。
これは安全性を重視するとき、生活リズムの乱れが目立つという場合、あと発達障害を合併している時に関しては、この薬が使う選択肢になってくるかと思われます。



こころ診療所グループ(医療法人社団Heart Station)
府中こころ診療所(東京都府中市宮西町1-1-3三和ビル2階、☎042-319-7887)
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#ラメルテオン #ロゼレム #睡眠薬 #メラトニン #不眠症 

【解説者】
医療法人社団Heart Station 理事長 府中こころ診療所院長 春日雄一郎
精神科医(精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医)
2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。

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