多摩地域で進む「ごみの有料化」23区は? 八王子では“成果”も/Charges for Garbage Collection Advancing in Tama Region
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 Published On Sep 19, 2024

東京23区の「ごみの最終処分場」が満杯となる可能性が出てくるまでの期間は、あと50年といわれています。東京都はごみの減量化や有効利用で処分場が利用できる期間はさらに延びるとしていますが、いつかは限界が来てしまう“ごみ問題”への対策は急務となっています。一方、多摩地域ではさらに切迫した状況でしたが、その危機を脱しようとしています。それが「ごみ回収の有料化」です。20年前に有料化を始めた八王子市を取材しました。

ごみ回収の有料化について東京23区に住む人に聞いてみると「大いに困りますよね。有料化されたら、別の関係ない所でごみを捨ててしまう人が出てくると思う。街にごみがあふれてしまう懸念があるので、あまり得策とは思えない」と話す人がいる一方で「有料化でいいと思う。ごみを減らすために個人も努力しなければ」「仕方ないよね。多摩地域やっているなら、やってもいいのでは」と理解を示す人もいるなど、賛否の声が聞かれました。

現在、23区では全自治体で組織する清掃に関する組合がごみの処理を一任されているため、有料化を実現するには23区の総意が必要となります。千代田区や葛飾区など17の自治体が区の基本計画に「ごみの有料化」の検討を盛り込み、2019年度からは東京都と23区による資源循環施策に関する検討会の中で議論を進めていますが、具体的な動きには至っていません。

一方、多摩地域には20年前から「ごみの有料化」を行う自治体もあります。八王子市では2004年に有料化を開始していて、可燃ごみ・不燃ごみは購入したごみ袋で捨て、それぞれの世帯ごとに戸別回収されています。

有料化は、かつて使用していた処分場が満杯となって閉鎖したことなどからごみの埋め立てが課題となり、市民のごみへの意識を高めるため踏み切られました。八王子市・ごみ減量対策課の堂本健二課長は「2004年10月、人口30万人以上の都市として全国で初めて有料化を行った。集積所方式から、家の前にごみを出す『戸別収集』体制に変更した。これらの取り組みで市民の意識が高まってごみ減量が進んでいる」と話します。有料化などにより、ごみの年間総量は開始前(2003年)のおよそ12万9000トンから、2023年にはおよそ8万1000トンへと4割近く減少しています。「1日当たりのごみ排出量の少なさ」では2年連続「全国1位」となっています。市の担当者は「今後もさまざまな取り組みを進め、ごみの排出削減を目指していく」としています。

<有料化進む多摩地域 6年間ごみ埋め立てゼロ>

ごみを埋め立てる場所に限りがある中、有料化が進む多摩地域では成果が出ています。

環境省などが発表した「1人が1日当たりに排出するごみの量」は全国で880グラム、東京23区では875グラムとなっている中、多摩地域は702グラムで、排出量は低く抑えられています。「人口10万人以上50万人未満」の全国の自治体で見ると、ごみの排出量が少ないランキングで1位に東京・日野市、3位に東京・小金井市と、トップスリーに2市が入っています。「人口50万人以上」の自治体では、八王子市が排出量の少なさでトップとなるなど、全国的にも多摩地域はごみの排出量が抑えられています。また、ごみのリサイクル率でも国分寺市、小金井市、八王子市がそれぞれ上位に入っています。

20年ほど前から徐々に有料化の取り組みが進む多摩地域では、ごみは最終的に東京・日の出町にある二ツ塚処分場に埋め立てられています。現在の埋め立て率は44.7%ですが、これは6年前から変わっていません。つまり、2018年度から“ごみを埋め立てていない”のです。各自治体で集められたごみは、可燃ごみは焼却し灰にして、不燃ごみは細かく砕くなどして処分場に運ばれていきます。従来、処理されたごみは埋め立てていましたが、二ツ塚処分場では燃やされて出た灰は全てエコセメントに再生し、不燃ごみは各自治体がリサイクルなどの努力をしていて処分場に持ち込まれていないということです。

「有料化」はごみを減らすという意識の向上のほか、分別の細分化などにかかる費用に充てられています。ただ、有料化については「値段が高い」「税の二重搾取だ」などと市民からの声があったということで、八王子市の担当者は「有料化には、住民説明会など住民への理解促進が課題」だとしています。

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