おおいた温泉道 笠原貴博さん  竹田市久住町・七里田温泉館下湯
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 Published On Apr 29, 2014

久住山系から流れる小川の谷あいに七里田(しちりだ)温泉が湧く。竹田市久住町有氏にある七里田温泉本館の受付で鍵を受け取り、歩いて2分ほどの下湯(したゆ)へ。「入るのは10回目くらいかな。とにかく泡の量がすごいんですよ」と話すのは笠原貴博さん(38)=別府市=だ。
 7、8人で満員となる赤茶色をしたコンクリートの湯船に漬かる。無色透明、源泉掛け流しの湯温は36度。「冬場はちょっと寒い。でもこの人肌ほどの湯に1時間入ると、体の芯から温まります」
 体中に細かな炭酸の泡がびっしり。手でなでると気泡の軟らかな感触が伝わる。「湯温が高いと、炭酸の抜けが早い。浴槽の大きさも含め、絶妙なバランスの上に成り立つ温泉です」と解説はよどみない。
 宮城県仙台市育ちの笠原さんは大学生のころ、友人と訪れた銀山温泉(山形県)で温泉にはまった。2006年と09年にはバイクと車で日本一周をした。滞在先で中古CDを買い求め、インターネットオークションで売って旅行資金を稼ぐスタイルで巡った温泉施設は1740カ所。記録し続けたメモ帳がその証しだ。
 別府への初訪問は09年。2週間で88カ所入湯を果たし、温泉道名人の仲間入り。「別府は奥が深い。全国でも断トツにすごいですよ」。当時、本紙の取材にこう答えた笠原さんの生活は2年後に一変した。
 11年3月11日、東日本大震災で被災し、住んでいたアパートが半壊。原発事故の不安もあり、避難先に迷わず別府を選んだ。仲間が運営する障害者の生活支援団体に所属しながら、県内外の温泉を攻略する。
 「温泉を通していろんな人たちと出会うのが一番の楽しみです」。笠原さんの情熱は、源泉のように冷めることを知らない。

 かさはら・たかひろ 東京都生まれ。大学卒業後、自営業を経て、自立生活センター別府こんぱす職員。別府八湯温泉道永世名人。現在16回目の挑戦中。温泉ソムリエ。

 七里田温泉館(TEL0974・77・2686)は午前9時から午後9時まで。第2火曜日定休。下湯は高校生以上500円。本館大浴場は同300円。中学生以下200円、3歳未満無料は共通。

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