Published On Jul 7, 2023
高下駄と羽織袴に身を包んだバンカラ集団。小樽商科大学応援団です。
100年を超える伝統行事、北大応援団との応援合戦「対面式」に挑みました。
コロナ禍を超えてマチを元気に。
地元出身の団長の声が響きました。
令和の世に似つかわしくないバンカラ集団、小樽商科大学第109代応援団です。団員は4人。
6月中旬、大学に元気な声が響き渡っていました。
商大応援団(2年)小笠原 廉 団長:「対面式の練習をしている」
対面式とは、商大応援団とライバル北大応援団が行う応援合戦のこと。
明治時代から100年以上続いてきた伝統行事。
ハイライトは、団長がユニークを交えながら相手をののしる「檄文」を読み上げる場面です。
コロナ禍の中止を経て、2022年3年ぶりに復活。
小樽市と札幌市で交互に行われ、2023年は商大のホームの小樽市が決戦の舞台となります。
Q:この下駄は何キロ?
「この下駄はですね、片方20キロ」
団長を務めるのは、2年生の小笠原廉さん。
小樽市生まれで商大に進学した、生粋の小樽っ子です。
対面式当日に練り歩くルートと、所要時間を確認します。
応援団は、幼いころからのあこがれでした。
「小学校の時の運動会に商大応援団がゲストで来てくれて、すごくかっこいい記憶があって」
こちらがその運動会。
全身を使って表現する応援団長の姿に魅せられ、10年越しの夢を叶えたのです。と、その時!
小樽市民:「109代?頑張ってください。お天気になるようお祈りしてます。パンあげるわ」
イベントで地元を盛り上げてくれる応援団は、市民にとっても身近な存在です。
Q:商大応援団人気ですね?
「学内よりも学外に人気があるんですよね」
夜は行きつけの店で反省会。
対面式に向け、順調に見える応援団ですが、実は深刻な問題を抱えていました。
商大応援団(3年)千葉 竜馬さん:「まず人数…人数が足りない」
商大応援団(3年)森田 亘佐さん:「人が足りてた時期は、コロナ前」
対面式には最低でも10人は必要だといいます。
2022年は知り合いに声をかけ続け、なんとか乗り切ることができました。
団員が減少したわけは、コロナ禍での活動制限です。
その間、学内で応援団の存在は薄くなり、2023年は新入生の入団もありませんでした。
「商大すげえって思ってもらえるように、またしたい。昔はきっとそうだったと思うので」
一方、札幌市のライバル北大応援団は。
北大応援団対面式団長(2年) 外ノ池 真志さん:「北大応援団は7人で活動している」
新入生2人が入団したものの、こちらも人が足りません。しかし…。
北大応援団対面式団長(2年) 外ノ池 真志さん:「対面式の人員は目途がついている。寮にOBが多いので」
北大応援団は、基本的に学生寮の寮生で構成され、応援団OBや助っ人の寮生など総勢30人以上で小樽に乗り込む予定です。
対面式2日前の本番を想定した総練習。
助っ人の1年生6人が加わりました。
迎えた対面式当日。
商大応援団OB:「応援団員だったんですけど、卒業した者です人が足りなくて呼ばれた」
社会人の応援団OBも駆けつけました。さらに…。
「島根県です。81歳」
この日のため、駆けつけたレジェンドOBも。
現役、助っ人の1年生、そしてOBを加え20人以上に膨れ上がった商大応援団。
舞台は小樽市中心部の商店街、サンモール一番街。
「よいしょ!」
遅れて登場した北大応援団。いざ対面式開始です。
まずは北大から商大へ、花束の贈呈。
小笠原さん、花束を掴むやいなや投げ捨てました。
続いては商大から北大へ。
こちらは花束に食らいつき、投げ捨てました。
実はこれ、対面式では恒例の伝統パフォーマンスです。
檄文読みは北大から。
北大応援団対面式団長(2年) 外ノ池 真志さん:「商大の猿ども。わざわざ山から下りてきて、ご苦労だった。応援団を名乗っておきながらお前らがやっていたのは、コスプレ、遠足、合コンもどき!」
そして、商大団長小笠原さんの檄文読み。
「よく来たな北大の白豚どもよ。なんと北大初の女性団員が入ったようだ。昼ドラの展開にならないか心配だ!」
コロナ禍を超えて続いてく伝統。
「小笠原廉ーー!」
駆けつけた市民からは、惜しみない拍手と声援が送られました。
小樽市民:「長く続けてきたものを、これからも続けてもらいたい」
商大生:「めちゃくちゃ迫力あって、かっこよかった」
6月中旬、大学に元気な声が響き渡っていました。
商大応援団(2年)小笠原 廉 団長:「すごく気持ちよく、すごく楽しかった。商大生や小樽をもっと応援していけるよう(今後も)いろんな活動をしていきたい」
変わらないことの、かっこよさ。小樽を愛し、市民から愛される。私たちはこのマチの応援団です。