上川外務大臣会見(令和6年6月18日)
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 Published On Jun 18, 2024

英語版(English)   • 〔June 18〕Regular Press Conference:Min...  

上川陽子外務大臣会見記録(要旨)
《令和6年6月18日(火) 16:05〜16:20   於:本省会見室》
【主な項目】冒頭発言:
(1)国際社会の持続可能性に関する有識者懇談会
(2)カマル・キショー国連事務総長特別代表(防災担当)兼国連防災機関長による大臣表敬

【質疑応答】
◯プーチン大統領の訪朝
◯中国の核戦力
◯日中局長級協議(ALPS処理水)
◯在広州総領事館による指定旅行会社の見直し
◯ロシアの凍結資産活用
◯国際保健規則(IHR)の改正


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◯冒頭発言
(1)国際社会の持続可能性に関する有識者懇談会
【上川外務大臣】私(上川大臣)から2件ございます。
本日、国際社会の持続可能性に関する有識者懇談会第2回会合を開催いたします。
この有識者懇談会は、国際社会全体の持続可能性の確保に向けました取組が大きな困難に直面する中、成長と持続可能性を同時に実現していくことができるようなアプローチを、改めて創造的に検討し、我が国として、国際社会をリードしていくとの観点から、本年4月に立ち上げたものでございます。
本日の第2回会合におきましては、特に、我が国の持続的な成長の在り方に焦点を当て、議論を更に深めていく予定です。こうした議論を通じまして、現行のSDGsだけではなく、2030年以降も見据えながら、我が国自身の持続的成長と、国際社会全体の持続可能性の確保に向け、我が国として、国際社会をいかにリードしていくことができるのかにつきまして、検討を進めてまいりたいと考えております。


(2)カマル・キショー国連事務総長特別代表(防災担当)兼国連防災機関長による大臣表敬
【上川外務大臣】続きまして2件目であります。
本日、カマル・キショー国連事務総長特別代表(防災担当)、兼国連防災機関(UNDRR)の長の表敬訪問を受けました。
私(上川大臣)から、日本が推進する人間の安全保障の考え方に基づきまして、人間の尊厳が守られる国際社会を創り上げていく上で、防災分野は極めて重要である旨をお伝えをいたしました。
また、防災分野の取組を進める上では、女性や子供など脆弱な人々の視点、これを取り入れ、マルチステークホルダーの参画を確保することが重要との点で一致をいたしました。こうした点を踏まえつつ、引き続き、UNDRRと連携を深めてまいりたいと考えております。
私(上川大臣)からは、以上です。

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◯プーチン大統領の訪朝
【NHK 五十嵐記者】露朝の関係で伺います。ロシアのプーチン大統領は、18日から2日間の日程で、24年ぶりに北朝鮮を訪問します。金正恩(キム・ジョンウン)総書記と会談を行い、経済や安全保障分野の協力を盛り込んだ戦略的パートナーシップに関する条約に署名する見通しです。一層の関係強化を確認するとみられますが、外務省としての受け止めや、今後の対応を伺います。

【上川外務大臣】プーチン大統領の訪朝を受けた露朝関係の見通しにつきましては、政府として、予断を持ってお答えすることは適当ではないと考え得るところでございますが、一般論として申し上げれば、露朝間の軍事的な連携、そして、協力の強化等を含めまして、我が国を取り巻く地域の安全保障環境は、一層厳しさを増していると考えております。
我が国といたしましては、引き続き、関連情報の収集、そして、分析を行うとともに、関連の安保理決議の履行、完全な履行、これを含めまして、米国、韓国を始めとする国際社会と、緊密に連携してまいりたいと考えております。


◯中国の核戦力
【共同通信 西山記者】中国の核戦力について伺います。スウェーデンのストックホルム国際平和研究所は、17日、1月時点で中国が保有する核弾頭数が、昨年同月から90発増えて、推計500発となったと発表しました。中国は「自衛のための核戦略」を取っていると主張していますが、日本政府としても、同様の認識でしょうか。今後の対応も含め、外務省の見解を伺います。

【上川外務大臣】まず、御指摘の発表等につきましては承知しておりますが、民間シンクタンクの発表内容や、また、中国政府関係者の発言の逐一につきまして、お答えをすることにつきましては、差し控えさせていただきたいと思います。
その上で、中国は、国防費を継続的に高い水準で増加させております。また、十分な透明性を欠いたまま、核・ミサイル戦力を含みます軍事力を、広範かつ急速に増強している状況であります。また、日本海、太平洋等におきましても、我が国の安全保障に影響を及ぼす軍事活動を拡大・活発化させている状況でもございます。
こうした現在の中国の軍事動向等を見ますと、我が国と国際社会の大変深刻な懸念事項であると考えておりまして、今後も強い関心を持って、注視していく必要があるというふうに考えております。


◯日中局長級協議(ALPS処理水)
【朝日新聞 松山記者】日中関係についてお伺いします。昨日、鯰(なまず)アジア大洋州局長と、劉勁松(りゅう・けいしょう)中国外交部アジア司長が北京で協議を実施し、ALPS処理水について、協議のプロセスを加速することで一致したと発表がありました。こちらの具体的な進捗状況を、可能な範囲で教えてください。それからあと、処理水を含めて、今回の協議で何か得られた成果があれば、そちらもご紹介をお願いいたします。

【上川外務大臣】まず、御指摘の協議につきましては、日中関係、そして、ALPS処理水を含めました各種懸案、また、共通の関心事項につきまして、率直な意見交換を行い、今後も緊密な意思疎通を継続していくということで一致をいたしました。
ALPS処理水につきましては、首脳レベルを含みます、これまでの意思疎通の進展を踏まえまして、協議のプロセスを加速化していくことで一致をしたところであります。さらに、日本側からは、中国による日本産の食品の輸入規制の即時撤廃を、改めて求めたところであります。
また、日本側からは、尖閣諸島をめぐります情勢や、東シナ海のブイを始めとした中国の海洋活動、中国における邦人拘束事案等につきまして、我が国の立場につきまして、改めて申入れを行うとともに、台湾に関する我が国の立場を改めて明確に伝達をしたところであります。
日中両国間には、様々な可能性と共に、数多くの課題や懸案が存在しているところでございますが、引き続き、あらゆるレベルで、重層的に意思疎通を重ねてまいりたいと考えております。


◯在広州総領事館による指定旅行会社の見直し
【読売新聞 上村記者】先日発生した、中国籍の男が起こしたとされる、靖国神社の落書き事件についてお伺いします。一部台湾メディアが、16日、この事件などを受けて、在広州の日本総領事館が、広東省と福建省の旅行会社11社に対して、観光ビザの申請代行業務に関する権限を取り消したと報じています。事実関係と、外務省の対応についてお聞かせください。

【上川外務大臣】中国におきましては、我が方の在中国公館が指定した旅行会社を通じまして、訪日観光査証の申請を行うこととしています。一方で、訪日査証の取扱い件数が少なく、訪日観光促進の姿勢が見られない指定旅行会社につきましては、管轄公館の判断で、指定を解除し、他の旅行会社を追加するなど、年に2回程度見直しを行っている状況でございます。
 今般、在広州日本国総領事館におきましては、管轄の指定旅行会社の定期的な見直しを行った結果、御指摘のあった広東省と福建省の11社につきまして、訪日査証の取扱い件数が少なく、訪日観光促進の姿勢が見られないことを理由に、指定の解除を行ったものであります。対象となった旅行会社にも、その理由は通知しておりまして、当該事件との関係は一切ございません。


◯ロシアの凍結資産活用
【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濱本記者】ウクライナ情勢について、一つ質問します。G7は、ロシアの凍結資産の運用益を利用して、500億ドル、約7兆8,500億をウクライナに融資する枠組みで合意しました。この融資に、EU諸国は直接関与せず、米国、カナダ、英国、日本が基金を提供すると、イタリアのメローニ首相が発言した旨報じられていますが、事実でしょうか。日本は、いくら提供するのでしょうか。また、米国は、11月の選挙で、トランプ氏が大統領に選出されれば、ウクライナ支援から抜けるかもしれません。その時、日本だけが取り残され、ウクライナ支援を担わされる可能性があるのではないでしょうか。お考えをお聞かせください。

【上川外務大臣】まず、御質問の融資に関する日本の立場ということでありますが、今般のG7プーリア・サミットにおきましては、G7首脳は、「ウクライナのための特別収益前倒し融資」を立ち上げることで一致をしました。
 融資をめぐる諸条件が整えば、日本も融資を行う考えであります。日本を含む各国による融資額や融資の形態等、その詳細は確定しておりません。いずれにしましても、まずは、G7間で詳細を議論していく予定でございます。
 2点目でありますが、ロシアによるウクライナ侵略につきまして、同盟国たる米国政府がいかなる政策を取るかは、我が国にとりまして重要な関心事項であります。平素から、日米の政府間におきましては、緊密な意思疎通を続けているところであります。
 その上で、他国の内政における仮定の質問について、政府として、予断を持ってお答えすることについては、なかなか困難でございます。いずれにいたしましても、重要なことは、米国大統領選挙の結果にかかわらず、今後、生じる様々な事態に対応し、米国政府との間におきましては、必要な政策上の調整を行っていくということ、そして、今後とも、米国政府との意思疎通を緊密に行いつつ、ウクライナに公正かつ永続的な平和を実現すべく、取り組んでまいりたいと思っております。


◯国際保健規則(IHR)の改正
【フリー・ジャーナリスト 高橋氏】WHO総会での国際保健規則、IHR改正の決議についてお尋ねします。国際保健規則改正案は、6月1日午後9時すぎ、現地時間ですが、WHO、A委員会、コミッティAの最終会議で、パンデミック条約案とともに、本会議に移管する決定がなされました。空席だらけの議場でしたが、議長は定足数を数えず、審議はなく、決議もありませんでした。直後に開かれた本会議では、議長が、IHR改正案の成案を10分ほど読み上げ、「決議案の採択に異議はありますか」と向けた後、「異議は見受けられません」と一方的に可決しました。委員会で議決する場合と、総会の定足数は過半数とすることが、世界保健総会手続規則で定められていますが、ここでも出席者数は数えず、審議も議決もありませんでした。しかも、IHR55条は、総会の最低4か月前までの参加国への提案・提示を義務付けています。日本政府として、改正IHRの採択が有効であると認める根拠をお教えください。

【上川外務大臣】御指摘の国際保健規則(IHR)につきましては、ドラフティング・グループにおける議論を経て、6月1日、WHO総会におきまして、慣行に従い、コンセンサスで採択をされたと承知しております。

(了)

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